「Dragon's Dogma 2」はいいところもあるが、全体としては落胆を禁じ得ないゲーム

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先日、Dragon's Dogma 2を一応クリアしました。 サイドクエストを大量に残してのクリアでしたが、それらを消化する気が起きず、中盤くらいからはクリアしたい一心でプレイしていたように思います。

本作のメディア・ユーザー評価もまずまず出揃ってきていて、比較的メディアは高評価な一方で、ユーザー側の意見は賛否両論といったところ。 私としては……どの意見も分かる部分もあり、平均すると概ね60点くらいに収束しそうな現時点の評価は妥当なのかなぁと感じています。

その内容からかなり人を選ぶと思われる本作について、各要素に対して自分なりにどう感じたのか書き連ねていこうと思います。

ストーリー: 期待していなかったがそれを下回る出来

まずはストーリー。 今作で初めてシリーズに触れる人の場合、どれほどここに期待している(していた)かは計り知れないところがあるのですが、過去作プレイヤーの私としては「あくまでもゲーム進行上の補助・導線として用意される程度だろう」と推測していました。

……が、なんと悪い方向へ予想を裏切られました。

序盤こそ、本来の王権者(=プレイヤーキャラクター)として、偽王を擁立して政治を牛耳る敵勢力にどう対抗していくのか?という部分が描かれており、「うんうん、こういうタイトルではそういうのあるよね」というのもありそこそこ楽しめていたんですが。

敵勢力側に現時点では抗しがたい「あるもの」に対抗するために、南に位置する隣国へ向かうあたりからシナリオライターが変わった(そしてちゃんと引き継ぎできていなかったのでは?)と思ってしまうような変化が訪れます。

後半では、前半の流れや積み重ねてきた設定・人物などの多くを放りだして、急速に結末へ向かっていきます。 特に「あるもの」への対抗策を獲得したあとのクエストラインが疑問符しか浮かばないまま、駆け足に最終決戦へ至ってしまうのです。

もしかしたら、私がスルーしてきたサイドクエストにて、このあたりを厚くするものがあったのかもしれません……が、主人公の目と口に成り代わる仲間・ポーンの言動も、メインクエストを進める限りでは違和感がある部分が散見され、全体の流れとしては中盤を機に破綻していると感じます。

ただ、それらも「いや、ここはこういうことだったのか?」という推測を立てられる部分もあり、しかしそれでもどこか腑に落ちないというか……過去作のストーリーも薄味かつ終盤駆け足気味ながらも、一応連続性はあったように思うので、これは前半で力尽きたかな?という印象です。

終盤~結末のネタバレありの言及

前作しかり、今作でも比較的メタ的なネタがあるのですが、今回の黒幕は冒頭で手助けしてくれたように思えた導き手であり、作中で言及がある「観る者」であることが判明。 つまり、本作の世界の外側から観測する上位存在的なものですね。

であれば、一見破綻した物語も、導き手(と本来は覚者のループ業務に協力するポーンら)によって、あるべき方向・彼が望む方向へ捻じ曲げられた結果……と言えなくもないのではないでしょうか。

ただ、そうだとしても「あるもの(=神凪の声)」への対抗策として得た剣(リディル)を、敵対勢力の一員であるファズスに“届けよう”というクエストになるのは直感的ではなく、「いや、城都へ帰って王座を奪還したほうがよくない?」とはなります。

ここで突如現れる巨人タロスによってそのへんをうやむやにしているというか、緊急なのでこっちに来てくださいと誘導されている感が強かったのですが、これも導き手の強引な誘導だったんでしょうか。

なんにせよ、序盤の設定や展開などをすべて投げ去ってとんちんかんな行動をプレイヤーに要求しているのは変わりなく、脚本の出来としてはかなりひどいものだと思います。

真エンドへ至る道中の導き手もほとんど繰り言しか言わなくなるようなものだし……そこらの街の人かよ、みたいな。

他にも獣人の存在や、人種差別問題的な要素も設定としてはありますが、特に深堀りされるほどではなく、あくまでも設定に終わっている感じであり、アイデアをとりあえず突っ込んだだけ……という印象が強いです。

Witcherのほど込み入った設定や物語にしたほうがいいとまでは言わないものの……本作のように僅かに追加した要素もどうせ活かせないのなら、下手に要素をあれこれ増やすよりも、必須要素を深めたほうが良かったと思います。

戦闘・アクション: 概ね良し。 細かいところでは不満も

ストーリーよりはこちらに期待する人が多いであろう、戦闘やアクションについて。

本作では10のジョブが用意され、それぞれにプレイ感覚の異なるアクションやスキルが用意されています。 近接職・遠距離職・魔法職・複合職……などなど。

どのジョブもだいたいは一長一短ある(例外あり)感じで、それぞれに尖らせて個性を持たせようとしたのだろうなぁ、という印象を受けますね。

ただし、本シリーズの特徴である「汎用の回避アクションが存在しない」などが一部のジョブに使用率が偏りそうな環境になっているのがなんともはや。

回避・防御アクションは基本的に限られたジョブにしか存在せず、それ以外のジョブは走り回るか、お茶濁し程度にジャンプするか、棒立ちで被弾するかしかありません。

おまけに本作のキャラクターは比較的リアクション芸人ばりに大げさな被弾リアクションをとるうえ、連続被弾を防ぐ機構もないため、2,3体にタイミングをずらされて攻撃を繰り返されて被弾した場合、もうなにもできずに延々と被弾とのけぞりを繰り返して死亡します。 対策としてはそうなる前に倒す!……くらいしかないのではないでしょうか。

そこに来て、一部ジョブではスタミナ減少するなどのデメリットはあるものの、自動で完全回避だの攻撃無効化バリアだのが使えます。 こうなると適切にスタミナ管理をする限りは、何も考えずに殴るだけにもなります。 このあたり非常に大雑把というか大味だなぁと思う次第です。

また別の部分では、カスタムスキルという習得・着脱自由なスキル群の総数が4つであることが、過去作比で単調なプレイになりやすい原因にもなっていそうな気がします。

L2に抜刀・納刀という、ゲームプレイ上割とすごくどうでもいい機能がわざわざ一つのキーを専有しているんですが、そんなものより第二のカスタムスキルのトリガーにしてほしかったものです。

魔法職以外は8つもスキルを装備できると選ぶ必要があまりない……となりがちになってしまうからかもしれませんが、そこはスキルを追加してほしかったし、魔法職は各属性やら他の便利魔法やらの存在があるため8つでようやく満足(4つでは対応力を考えると足りなさすぎる)といったところです。

非戦闘中に自由にスキル付替えができるならまだしも、ギルドかキャンプでしか付け替えができないので、有効属性攻撃を持っていないときの気だるさはなかなかのものです。

本作における不満点は、有機的に他の要素と結びついており、全体としての満足感を下げ、不満増大を促進する構造になっています。 その一端がこのあたり、でしょうか。

ちなみにクリアまで通して死亡回数は8回でしたが、そのほとんどが落下死でした(敵に吹き飛ばされたり含む)。 ので、戦闘自体の難易度は高すぎるということではないと思われます。

システム: 意図的であろう不便さと、シンプルな不便さとが同居

システム面は全体的に不親切・不便です。

不便さを楽しんでほしい(不便さを楽しさに結びつけたゲームである)という言説はあちこちで見かけますが、シンプルに楽しさに結びつかない不便さも大量にあります。

例えば所持品周りで言えば、所持重量などは批判点としてよく挙げられていた気もしますが、これは意図的であろうし、正直どうとでもなる部分でもあります。 適宜、荷物整理や分担をすればいいので(ここにリアルさを見出し、楽しい!面白い!と思えるかはともかく意図的なものでしょう)。

しかしここで“楽しくない”不便さが手を繋いで現れます。 インベントリー(所持品画面)操作が煩雑なのです。 いちいち、丹精込めて、ひとつずつ(1スタックずつ)仲間に渡していく必要があるのです。 複数選択で一括移動など存在しません(倉庫に入れる際はあります)。

さらに、戦闘中でも受け渡しできるにもかかわらず、キャンプ中はなぜか受け渡しできません。 一体どういうことなのでしょう……?

また、賛否のあるファストトラベルの制限も過去作通りながら、一部劣化しているために「冒険感を味わえる」よりも「めんどくさい」が勝る印象でした。

  • ファストトラベルに使うアイテムが高価。 過去作においても、初代が1万~2万Gだったのが完全版で1000~2000Gになったにもかかわらず、本作では再び1万Gに値上がり。 先祖返りしてどうする。 なお、ある時点から入手が容易になるものの、ほしいのは“その前の段階”なので今更感がある。
  • マップは過去作の4倍と言いつつ、初期で配置されている戻りの礎(ファストトラベル先)はわずかに2つ、しかも主要都市のひとつ(南国バタル)には設置されていない。 主要都市くらいには最初から置いておきましょうよ……。
  • 過去作よりはマシになったとはいえ、探索の楽しみが十分に深まったかといえば疑問。 ゆえに、やはり移動はプレイが進むごとに面倒になっていく。

……というようなところ。

ファストトラベルに制限があるからこそ、道中での発見がある……とする意見もありますが、個人的にはこの意見には賛同できません。

例えばSkyrimであれば、一度発見した場所にファストトラベルが可能になるタイプです。 では一度行ってしまったらもう道中は無視してしまうか?と言われると(プレイスタイル次第ではありますが)そうでもないと思います。

というのも、Skyrimの世界は広大なだけでなく密度、つまりコンテンツ量も膨大です。 なので、「今回は徒歩で行ってみようかな、見落としがあるかもしれない」とか「ファストトラベルで目的地に到着したけど、なにやら気になる場所が他にもあるな……」というような状況もままあるので、プレイヤーが能動的にあたりを散策してみようかなと思えるようなものになっていました。

よって、システムで制限しなくても、散策・探索しがいのある魅力のある世界を作り出せているのであれば、プレイヤーは自由にお急ぎのときはお急ぎで、そうでないときは自ら足を使って世界を巡るだろうと思います。 もちろん、そういう世界を作るのは容易なことではありませんが。

そこのところで本作は、ファストトラベルを制限することで冒険をしてほしいと半ば強制する形で実現しています。 その思想に共感できるプレイヤーならいさ知らず、現代の忙しいプレイヤーたちのうち少なくない数は、この仕様に難色を示したとしても不思議はありません。

まして、オープンワールド部分に関して言えば、これまた10年前の作品であるSkyrimにまだ及んでいないのですから。

本作はオープンワールドARPGを標榜していますが、初代の頃から「これはオープンワールドと言えるのか?」という世界の作りになっています。

ドラゴンズドグマ2のマップのスクリーンショット。 広大だが開けてはおらず、 山や川、崖などで道筋が固定されており、移動の自由がない。

本作のフィールドは一見広大ですが、実際のところはマップに表示されている白い道を行くほかありません。 回り込んでショートカットしたりとか、そういったことはほとんどできません。

オープンワールドの魅力として、個人的には移動の自由があると思っています。 「ここ行けそうかな?」「もしかしたら、この道を行けばあの場所へ行けるのでは……」というような、まだ見ぬ大地を踏みしめながら、目的地へ最短距離で行ってみたり、あるいは迂回してみたり……というような、気の向くままの旅ができること……それが魅力のひとつだろうと。 一見行けなさそうなところも行けたりすると、より楽しいですね。

しかし本作は、行けそうなところは行き止まり(山・川・崖などで制限されている)であることがほとんどで、行けなさそうなところは行けない……という塩梅です。 また、ちょっとした傾斜でもズルズル滑り落ちる仕様もあり、細かいところでもストレスを感じます。

魅力的なオープンワールドは「面」で移動の自由がありますが、本作のフィールドマップは点と点を結ぶ「線」での移動となります。

ただ道中が長いだけであって、道の幅が広いとか狭いとかがあったり、道の真ん中を行くか左右のどちらかに寄るかくらいの自由は許されますが、結局進める方向は変わらないのですから、いくらマップが広かろうと窮屈で息苦しさを感じるのです。 それは果たして“オープン”なのでしょうか?

また、川や海といった場所に足を踏み入れると、ヒュージブルという水棲の魔物に囚われて岸に戻されるのですが、一応、この辺に説得力をもたせようとした形跡があります。 が、それを知ったうえでなお、「ショートカットされたり意図せぬ土地に行ってもらいたくないための行動制限なのだろうな」と感じてしまいます。

結果、どこへでも行けるというわけではない牛車に揺られるか、歩くしかないのです。 もう何度も通って見るところのない道だとしても(過去作では宝箱のリポップがあったのでまだしも、なぜか今作ではリポップしなくなった模様なので、ここも劣化点というか何度も徒歩で行き来させる割に旨味がないです)。

他にもショップで距離の離れているポーンにはアイテムを買い与えられないとか、(前述しましたが)スキル変更すら特定施設を使わないとできないとか、通りすがりのポーン(仲間候補)が近くを通ると雇用メニューを勝手に表示してきて鬱陶しいとか……実に大小様々な不便さがてんこもりです。

ダンジョン内スクリーンショット。 あまりにも狭く、カメラの回り込みに難がある。

狭いダンジョンでのカメラの近さというか、視認性の悪さにも時代を感じたり……。 カメラ問題は常々この手のゲームでは抱えているものの、本作はほぼ無策といっていい実装なので、現世代の大作ゲームの中ではワーストクラスのカメラワークですし。

それが物珍しいとか、リアリティ表現として受け入れられるものもあるでしょうけど、「これくらいできてもいいのでは?」とか「こんなこともできないの?」というのもあり、良くも悪くも親切でユーザビリティ向上の行き届いた昨今のゲームに親しんでいるほど、本作のプレイは苦痛が伴うでしょう。

グラフィック・ビジュアル: キャラ良好、ほかはPS4相当か

本作のキャラクターグラフィックはかなり高レベルで、過去作に比べ表現力も増していると思います。 操作するプレイヤーキャラだけでなく、相棒となる「ポーン」もクリエイト対象です。

キャラクターエディット画面のスクリーンショットその1。 上裸の男性が映っている。

キャラクターエディット画面のスクリーンショットその2。女性が映っている。

かなり編集の自由度は高く、有名人やアニメキャラの再現のみならず、異形とでも言うべき外見まで作ることができるため、かなり時間を使って作り込めると思います。

※外見の再編集周りで有料アイテムの購入が必須と勘違いしたプレイヤーによる批判もありましたが、実際は有料アイテムを購入しなくてもゲーム内マネーで購入が可能ですし、最近のアップデートで実質無限に購入できるようになりました。 まぁ、商品ページに「このアイテムはゲーム内でも入手可能です」とでも書いておけば、ここまで騒がれなかったと思いますが……。

また、過去作で特徴のひとつであった「夜の怖さ」は健在。

夜のスクリーンショットその1。 ほぼ視界ゼロの状況。

人家もなく灯りもない状態だとこんな感じです。 とてもこんな状況では未知の土地を探索しようなどとは思えないですよね。 一歩先には崖があるかもしれないし、すぐ近くに命を狙うなにものかが潜んでいるかも……。

もちろん、これではゲームになりませんし、冒険者たるものランタンを持ち歩いているのが普通のこと。 なんですが……。

夜のスクリーンショットその2。 ランタンをつけているが、それでもなお暗い。

ランタンをつけてもこの暗さです。 洞窟などの閉所ではともかく、屋外だと光が拡散してしまい、本当に身の回りくらいしか照らすことができません。 一応これなら全く進めないということはないですが……依然としてリスクは高い状況にあると思われます。

夜のスクリーンショットその3。 遠くに明かりが見えるが、それが人家などの明かりか、はたまた危険な存在の放つものかが判別できない。

そして、暗闇に浮かび上がる炎などの明かりがあったとき……どこかホッとするというか安心することもあるかもしれません。

しかし、その明かりは本当に安全な明かりでしょうか? もしかしたらゴブリンの持つ松明の明かりかもしれないし、場合によってはもっと恐ろしい存在の場合も……と、迂闊に光明に近づくのも危ないという表現が実現しています。

この夜の暗さと恐ろしさはなかなか他ではお目にかかれない要素だと思います。 夜は強力な敵が出るとかはあると思いますが、シンプルかつストレートに暗闇の危険さを表現しているタイトルは、全体で見ると少数派だと思います。 この要素は緊張感もあって、私としてはお気に入りの要素です。

それ以外の部分……マップの形状やテクスチャーといったものは、PS4くらいの感じかな、というところです。 決して汚いわけではないですが、最新のグラフィックというには世代が一個くらい前かな?という印象がありますね。

BGM・効果音: 楽曲はまずまず、効果音は良好

音響面に関しては標準以上の出来だと思います。

楽曲は割と王道さもあり、ファンタジー感が感じられるものが揃っています。 個人的には過去作にあったエレキギターのアレンジがケレン味があって好きだったので、今回そのあたりがなくなってしまい、割と無難というか普通な印象になってしまったかな……とも感じます。 ただ、大半の人は満足するであろうクオリティです。

効果音に関してはとりわけ戦闘中のものが秀逸です。

単純に戦闘の楽しさを引き出してくれるだけでなく、攻撃した部位が柔らかい部分であれば効いていそうな音が鳴って爽快感を上乗せしてくれ、硬い部位なら硬く弾かれたような軽い音が鳴るために「あまり攻撃が通っていないな」と耳でも有効か無効か判断できるのです。

効果音の良し悪しで、特にアクション要素のあるゲームは楽しさがかなり変わってくると思いますが、この点においては、本作は非常にいい仕事をしているな!という感じです。

なお、音声としては……ポーンの声が、各タイプの声の高低が雑にピッチだけ変えただけなのが個人的にはガッカリポイントでした。 せめてもうちょっと自然になるように調整してほしかったですね。

ポーンと竜憑き: ポーンは可愛いが、取り巻く環境は劣化

本作の独自性のひとつである「ポーン」システムは、AI制御の仲間であり、とりわけ、自分でキャラクタークリエイトして常にともに戦っていく相棒を提供してくれています。

割とポンコツなところがあり、そこもまた可愛いのですが、基本的には頼りになる仲間たちという位置づけであり、シングルプレイタイトルながらマルチプレイをしているような体験を……というコンセプトで実装されているようです。

他プレイヤーとの貸し借りも可能なので、他プレイヤーの世界でメインポーンが経験を積んで頼りになる存在になったり、借りたポーンが現在進めているクエストの誘導を行ってくれたり……というようなこともあります。 積極的に貸し借りしたくなる感じですよね。

過去作に比べると(まぁ、パターンが多くないため割とすぐに聞き飽きるものの)ポーン同士の掛け合いがあって賑やかになったり、前述の通りビジュアル面の進化によって、より愛着が湧く土壌はあったように思います。

借りてきたポーンのスクリーンショット。 本来の主とプレイヤーを比較し、プレイヤーのほうが優れているかもしれない、という自己肯定感を高めるようなセリフを言っている。

ちょいちょい自己肯定感を高めてくれるような気配り(?)も搭載しているので、彼らとの旅は他のゲームでは得られないものが多々あると思います。 実にいいシステムですね。

……しかし、本作で実装された「竜憑き」という要素が、ことによってはポーンの貸し借りを萎縮させかねないものになっています。

この「竜憑き」は記事公開時点で条件不明な感じですが、ともかく何らかの条件によってポーンに発生する感染症のようなものらしいです。 放置しているとなにかに苦しんだり、言動が反抗的になっていき、その状態で宿に泊まると……甚大な惨劇を招きます。

もし発生させてしまうと、復帰手段はあるとはいえ、クエストの進行が不可能になるような状況にもなるようです。 復帰させようにもかなりの労力を必要とするため、ここで心が折れてプレイを断念したという声もそこそこ見かけます。

ではそれを防ぐにはどうすればいいかといえば、感染が疑われるポーンを川などに放り投げてロストさせるのが手っ取り早く確実な方法のようです。

そう、場合によっては、愛着の湧いた相棒たるメインポーンもそうせねばならないのです。 自らの手で水に投げ入れたり崖から放り投げるんですよ?

なぜポーンが過去作のプレイヤーから評価されたかといえば、単に頼りになる仲間という理由だけではないのです。 かわいい“うちの子”として愛でている人は相当いたはずで、そういう人の声もたくさん聞いていたはずなのです。 にも関わらずこの仕様とか、何考えてるんですか?

また、感染経路が不明な以上、他プレイヤーからレンタルするのにも抵抗感をおぼえる人もいるのではないでしょうか。 ポーンの貸し借りというゆるいコミュニティのような機能を作り、魅力としても推している反面、それを萎縮させたりするような要素を入れるというのは、私には全く理解できない判断です。

ちなみにこの「竜憑き」は初代に入れようとして、色々あって入れられなかったものだそうです。 もし初代に入れていたのなら、2はもちろん、完全版たるダークアリズンや、スピンオフ作品などの数々も生まれることはなかったのではないでしょうか。

ストーリー上明かされる「竜憑き」の正体らしきものを知っても「なんか違わない?」という感じですし、蛇足もいいところの仕様です。

※幸いにして私はゲームクリアするまで一度も「竜憑き」にはなりませんでした。 なので上記の内容は調べた限りの内容をもとにしたものであり、仕様の詳細に誤りがある場合もあります。

期待に対して落胆の大きかったゲーム

ということで長々と色々と書いてきましたが、書ききれなかったもの(残念ながら、ほとんどが不満点ですが)もまだまだあるものの……改めて本作の感想を述べるならば「大きく落胆させられたゲーム」でしょうか。

開発者インタビューの発言の多くがビッグマウスだった(これで“中世シミュレーター”はないでしょうと。 10年前のSkyrimなどのほうがよっぽどふさわしいです)とか、トレーラーの映像がピークだったとか、そういうのもありますが……いやー、もうちょっとちゃんとDragon's Dogmaというゲームを進化させてくれると思っていたんですがね。

確かに良くなった部分はあります。 しかしそれ以上に悪化・劣化した箇所があったり、10年前とほとんど変わらないアレコレの中で、イマドキこれはどうなの?という部分も多く散見されるため、私の意見としては「おすすめはできないゲーム」となりますかね。

結構売れ行き好調らしいので完全版なり拡張DLCなり出すのかもしれませんし、3もありえるかもしれません。 が……私としてはもうそれらは買うことはないかな、という程度にはもう信用できないかなというところです。

ただ、もちろん、本作にはまり込んで楽しんでいる人が多くいることも事実です。 ジワジワとSteamレビューは好評に傾いてきているようですし、万人受けしないゲームだとしても、刺さる人には刺さっているのは確かです。

なのでまぁ、私は「刺さらなかった」側の人間というだけの話かもしれませんが、お高いデラックス・エディションを購入したことをだいぶ後悔した程度には、10年越しのシリーズ新作がこんな出来・内容だったことは残念でなりません。

コンセプトは毎回いいんですけど、作り込みなどが毎回全然追いついていない……そういうシリーズなんだと思います。

……と、不満ばかりになってしまってアレなので、最後に一番楽しかった・笑った場面のスクリーンショットでも。

屋外でのスクリーンショット。 敵との戦闘中、不意に空中に高速で跳ね飛ばされ、空を高速飛行している様子。

グリフィンとの戦闘中、なにかの拍子に空中に跳ね飛ばされ、凄まじい勢いで吹き飛ばされるという一幕がありました。 この手のゲームあるあるですが、かっとび具合が実に爽快でした。

屋外のスクリーンショットその2。 遥か遠くに跳ね飛ばした張本人のグリフィンの姿が小さく見え、途方に暮れるプレイヤーキャラ。

思えば遠くまで来たものだ……遥か遠くに見えるグリフィン、こいつが元凶です。

※なおこのあと見えない壁に阻まれまくって地表に降りることも叶わず、刹那の秘石(ファストトラベルアイテム)で戻りました。

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